サイエンスへの貢献:全国多施設研究の現況

長良医療センター産科医長 高橋雄一郎

岐阜県は周産期領域において最も基本的な問題の一つである早産を減らすべく、「岐阜県早産研究会」を立ち上げ、現在二次研究を行っております。岐阜県全体で臨床研究をおこなうことで、地に足の着いた臨床へ真に還元できる研究をおこなっております。全体で行うことはどの地域でも非常に難しいものですが、そこは岐阜県のまとまりのよさが手伝って、一丸となって臨床研究を行えています。日々周産期の臨床を行っておりますと、20週で破水をしたりぎりぎりで救命できない症例とよく遭遇します。産科側としては何でも早産で出産していただくのではなくなるべく予防することで児のリスクを減らせれればと考えています。様々な早産の研究がありますが、岐阜は予防に重点をおくオリジナルなコンセプトで研究を進めています。現在は二次研究として初期の前方視的なリスクファクターの抽出を検討しています。


 胎児治療においては長良医療センターが日本胎児治療グループに属し、日本における胎児治療の多施設臨床研究に多く関わっております。TTTSのレーザー治療、胎児胸水に対する胸腔羊水腔シャント術、胎児輸血、無心体ラジオ波などを始めとする胎児治療の臨床研究に貢献しており、日本からのエビデンスの発信に貢献しております。また長良医療センターではかねてより胎児の骨系統疾患に関する多施設臨床研究にも参加しており、現在日本で行われている疾患発症の疫学的研究では中心的な役割をはたしています。胎児の骨系統疾患はiPS細胞の創薬研究から、タナトフォリック骨異形成症にスタチンという薬剤が効果的であるという成果が本邦よりNEJMに報告されました。また低アルカリフォスファターゼ血症の児に生後酵素補充療法を行う事で劇的に状態が改善されるという画期的な成果が報告され日本でも医師主導型治験が開始されました。現在胎児期の治療ができないか模索されるなど、難病に対する新しい治療の可能性が期待されている領域です。
 癌の治療においては岐阜大学病院が婦人科腫瘍臨床研究JGOGに属しており、婦人科悪性腫瘍に対する最適な化学療法の確立と普及のための多施設共同研究事業に貢献しています。
 
 このように岐阜県では多領域にわたって、多施設共同研究に携わる事で真のサイエンスの成果の発信に貢献できるように真面目な臨床研究を進めています。

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