国際学会での発表の経験

岐阜大学医学部附属病院 成育医療女性科 志賀友美

 2014年9月、医師になって8年目の秋にInternational Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecology(ISUOG)という国際学会で発表する機会を与えていただきました。話には聞いていたものの、ISUOGがなんたるものかもよく知らないまま、ただただスペインに行きたい!という不純な動機大半でabstractを送りました。(2014年はスペイン、バルセロナで開催だったのです)
 数ヶ月後、返ってきたメールには『9/16  OC (oral communication)』と一言。いまいち理解していない私はそのまま上司にメールをしました。すると速攻で「え〜それすごいことなんだぞ〜!!」という返事。血の気が引いて行ったのを今でもよく覚えています。そこからが戦いの始まりでした。正直私は英語が苦手です。謙遜ではなく本当に苦手です。そして学会発表をするためには発表する内容の何倍ものbackgroundを知っていなければなりません。関連する論文を読み漁りました。もちろん英語の論文なので1本読むのにすごく時間がかかります。それでもなんとか発表内容が形になりスペイン入りすることができました。スペインについてから発表までの2日間、あとはひたすら原稿の丸暗記。
 そして発表の当日、緊張の中無事話し終え一番恐れていたdiscussionの時間。質問に立ったのはその界の巨匠的存在の先生でした。そのオーラに私は顔が引きつっていたと思います。その後は上司に助けてもらい事なきを得ましたが、よく考えてみれば日本のほんの下っ端医師の私とこんなえらい先生とがつながった瞬間、すごいことだと感動しました。学会場にはその他にも、論文で何度も名前を見た高名な先生方がたくさんおられ、感動のあまりついつい写真を撮りました。そして内容をきっと半分も聞き取れませんでしたが世界ではすごい医療が行われていることを実感できました。その後のスペイン観光が最高だったことは言うまでもありません。
 学生時代からずっと私たちは試験のある生活をしてきました。嫌でも試験という区切りが目標となりそれをクリアしていくことで少なからず達成感を得ていたと思います。しかし医師になり専門医試験まで終わってしまうと、しばらく試験というゴールがなくなります。永遠と繰り返される日常業務に何をモチベーションにがんばったら良いのかわからなくなる時がありました。学会というのはそんな自分に括を入れられる場だと思います。患者さんのため、日々の臨床を良くするために最先端の情報を自分に取り込む、頑張っている人たちを目の当たりにする、そうすることで自分も頑張ろうという気持ちになれます。準備期間は苦しい時間でしたが、機会があればぜひまたチャレンジしてみたいと思います。そしてそんな時間を共有できる仲間が増えることを心より望んでいます。

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