かわばたレター研修編

長良医療センター 周産期診療部長 川鰭市郎

 

 

 かわばたレターを知ってますか。

 

 長良医療センターのホームページで、この10年間毎月更新されているブログのようなものなんです。季節の移り変わりやさまざまな話題、もちろん医療に関することも含めて幅広く語ってます。おかげさまで、毎月楽しみにしてると言ってくださる方もけっこういるんですよ。

 これを始めたきっかけ、それはできたばかりの長良医療センターを、そこで行われている先進的な周産期医療を親しみやすく知ってもらうことだったんです。国内でも数少ない胎児診断治療の拠点病院。さらに主治医性を廃止するなど個性あふれる病院。その姿を大勢の人に知ってもらうためにかわばたレターを始めました。かわばたレターで紹介してきた岐阜県の周産期医療について、ここに紹介してみましょう。

 

 岐阜県最初の胎児診断による救命例、それは1987年のことでした。お腹が閉じていないため、消化管が羊水中に浮かんでいる胎児を見つけました。腹壁破裂と診断し、NICUも小児外科もない当時の岐阜大学病院で産まれ、救急搬送で小児外科医がいる病院で緊急手術。無事成功して元気に退院となりました。この赤ちゃん、大学を卒業して就職を前にわざわざ私を訪ねてきてくれました。22年ぶりの感動の再会です。といっても本人は覚えてなんかいませんけどね。その後も横隔膜ヘルニアの症例を陣痛誘発して、小児外科の先生が手術可能な時間に合わせて出産となるように一晩中頑張ったこともありました。赤ちゃんは予定通りに産まれ、気管内挿管されてこれまた救急車で搬送。生死に関わる手術も無事に終了しました。もちろん元気に育ってます。

 少しずつ症例を重ね、学会発表もできるようになったとき、鳥取大学名誉教授前田一男先生から海外の学会に誘っていただきました。場所はクロアチア。1994年のことです。ユーゴスラビアの内戦はまだ完全には終結しておらず、お隣のボスニアでは市民が街中で狙い撃ちされていた時代です。治安も含めて不安いっぱいで参加したんですが、行ってよかった。海外の数多くの先生達とすっかり仲良くなることができたんです。以後毎年どこかの国際学会に参加し続けることになりました。
 前田先生達はアジアとのコミュニケーションを考えて、台湾との交流の場を設けておられました。もちろん私もご一緒してきたんですが、この学会は若手の先生が初めて英語で発表する場になっていきました。10年ちょっと前に韓国産婦人科超音波学会から講演の招請をいただきました。この機会を逃してはいけないと思い、交渉の結果日本と韓国の交流の学会を設けることができたんです。この二つの学会を一つにまとめ、日台韓母体胎児学会としてその第1回は岐阜で開催させてもらいました。他にも第34回日本母体胎児学会、第9回日本胎児治療学会も岐阜で開催されてます。


 このように日本の周産期医療の急激な発展の中で、岐阜はしっかりと存在感を示してきたんです。長良医療センター、ここで行われる胎児診断治療は、日本の周産期医療の中にしっかりと根をおろし、全国から若手産科医が研修に集まる場所になってきてます。でも、最近は岐阜の先生方からお叱りを受けることがあるんです。長良は他の地域の産科医を育てるけど、岐阜で診療する産科医を育ててくれないと困る。ごもっともです。そのためにはこれから岐阜で研修を始める産科医を集めなければならないんです。全国から勉強に来る病院が身近にある環境で研修を始めて見ませんか。若手産科医が枯渇している今、岐阜で産科研修を始めれば、極めて効率よく産科の診断診療技術を身につけることができるんですよ。少し前の流行語ですが、

 

 いつやるの。今でしょ。

夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ01
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