ハイリスクの胎児管理は、児の生死のラインでの攻防です。時には救命できない症例に遭遇し、自分たちの無力感に悩み、お母さんやご家族の悲嘆に投げかける言葉すらでてこないシーンも経験します。我々はそんな数々の経験から、周産期診療におけるこころの問題も大切であると常々考えて参りました。一昨年、縁があって岐阜県総合医療センターの新生児内科の寺澤大祐先生と出会い、「ぎふ周産期こころの研究会」を立ち上げました。有志の医師、看護スタッフ、心理士さんなどで事務局を形成し、半年に一回研究会を行っております。18トリソミーの赤ちゃんの出産、小児期管理ついて、周産期以降の在宅医療へのバトンタッチ、理想の在宅医療とは?スタッフの燃え尽き防止、チーム医療の有るべき姿、などをテーマに議論して参りました。次回は8/29「母性とは?」というテーマについて議論する予定です。
(詳細はホームページをご参照ください。http://gifuperikokoro.wix.com/home)
日本人は本来議論好きなのでしょうか。毎回のグループワークでは熱い議論がなされ、多職種がかかわり合う事の楽しさも実感します。人は理想を語るとき、生き生きとした目になります。話すのが苦手なかたも、個人での仕事が多い職種のかたも語ることで少しづつ人の輪が繋がっていき、大きなエネルギーとなることが期待されます。そんな「こころ」の問題についての研究会がある、それが岐阜の周産期診療における特徴の一つかもしれません。この研究会は医学生でも医療関係者なら参加できますのでふるってご参加ください。
医療は、高度で正確な「技術力」、そして研究への「知力」に加え「仁」、すなわちこころの道と三者がそろってはじめていいものになるのではないでしょうか。