女性の視点、母の視点、子どもの視点

岐阜県総合医療センター 女性外来 廣瀬玲子

 産婦人科に興味がある方の中で、少しは私のような変わり者が参考になるタイプの人もいるかもしれないと思い、少し文章をしたためます。
私はまがりなりにも産婦人科医としての分娩・手術・当直の日々は19年間で、その後のこの8年間はその3つからは離れ、女性外来(スタートは13年前ですが)を中心に、女性のライフサイクルの中での女性の心身の不調や疾患の相談や診療を行ってきました。漢方や心身医学、最近では総合診療や統合医療など、必要と思う分野に学びを広げてきています。必要に応じて学校などにも講演や相談活動に行き、性教育だけではない心身の成長期の様々な問題、多職種の方々との連携など、拡がってきました。
こうした流れの根っこは産婦人科医であったからであることは間違いありません。
 教科書的な医学がまだまだ追いついていない健康問題はたくさんありますが、特に産婦人科には、みなさんが開拓していける分野がたくさんあります。疾病ではなく、健康から人間をみていけること、環境、心理、社会、多くの問題をともにみていくことが大切なこと、女性や母や胎児という存在を大切にまず考えていくことなど、すばらしい仕事です。
 読んでいただきたい本「プライマルヘルス」ミシェル・オダン著があります。フランス人の外科医で、自然分娩に魅せられ、そこから多くの気づきを得てこられた医師です。妊娠出産新生児期、多くの動物の健康のプライマルシステムが設定されます。神経・免疫・内分泌・・・。神様(のような存在が)が準備し尽くしたすばらしいシステムを、今も新しい知見として、学者や医師達がひとつひとつ掘り起こしている感じです。


 私は、1年目に、オダン先生の自然分娩の映像をたくさん見る機会に偶然恵まれ、どこに、この自然が調和する条件があるのかと、ずっと思い続けています。分娩だけではなく、子どもの育ち、女性の育ち、男性の育ちもです。なぜ、この疾患が、この体質が、この性格ができあがるのか、この人生になるのか、こうした男女の関係があるのかなど。
 こうやって、人に関心を持って仕事を続けますと、難しい患者さんでも対応できそうかなと思えます。自らものの考え方を学び、生活や生き方を変え、より健康の方向へ、あるいはアクシデントがあってもそれによってたくさん学んで成長する女性によりそえます。


 人間に興味のある方は、産婦人科に飛び込んでください。
幸い、男性の産婦人科医の先生方をみても、他の科の男性の先生とは違う、女性への深い理解と愛がある方が多いです。
 女性の産婦人科医の先生にも、全国的にみて、本当にいろいろなタイプがあります。
 産婦人科専門医もたくさん必要です。そして、産婦人科を経験した小児科医やプライマリケア医、産業医、教育関係者、政治家などもたくさん必要です。今、そんなことを感じながら仕事を楽しんでいます。

夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ01
夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ02
夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ03
夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ04
夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ05
夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ06
夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ07
夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ08
夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ09
夢プロジェクト「ぎふの産婦人科医の魅力」岐阜県、産婦人科医、医学生向けイメージ10