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若手医師による
若手医師のためのブログ(不定期更新)
題して、
ほりっちょダイアリー 〜和良いあり、涙ありの地域奮闘記〜
若手医師の徒然なる奮闘記を等身大に綴られたブログです♪
さまざまな産婦人科の、リアルな生活を除いてみませんか?
奮闘記 vol.1 2023年11月
初めまして。私は岐阜県郡上市県北西部地域医療センター国保和良診療所で医師をしております、堀翔大と申します。栃木県の自治医科大学を卒業し、出身地である岐阜県に医師として帰って参りました。数年間へき地指定病院で勤務することになっているため、現在は診療所で勤務しながら週1回、県内の産婦人科で専攻医として従事させていただいております。
診療所といえば皆さん、どのような場所を想像するでしょうか。陸の孤島にぽつんとある場所、できる検査はほとんど限られている場所・・自分も赴任前はそう考えていました。
郡上市和良町は、岐阜県のほぼ中央に位置する場所にあり観光地である郡上八幡と下呂市の中間に位置しています。岐阜市までは車で1時間半程の場所にありますが、途中つづら折り(くねくね道)の峠を越えなければならず難所の1つです。(今から冬季がとても心配です)
人口は1500人程度、そのうち高齢者人口は770人程(なんと高齢化率50%以上!)の“超”高齢化地域です。診療所としては血液検査、エコー検査はもちろん、レントゲン、CT検査、胃カメラだって行うことができます。ただし放射線技師さんが常駐でいらっしゃらないため、自分がしなければいけない時も多々あります。最近ようやく、体幹部CTを撮像できるようになってきました。(もちろん技師さんと比べるとかなり稚拙な画像ですが・・)。
そんな診療所での体験を少し、皆さんと共有できればと思います。
【症例】
90代男性(ご本人には掲載許可を頂いております。)
主訴:イノシシ牙による右下腿刺創
現病歴:自分で作ったイノシシ罠の様子を見に行ったらイノシシに遭遇、勝てると思っていたが突進され受傷した。
とある平日の16時55分、その男性は独歩で外来に滑り込み受診されました。その男性はその日の2時間前に定期外来を受診され内服薬をもらい帰宅されていた方でしたので、スタッフ一同「どうしたのよ一体!?」と驚きを隠しきれませんでした。
傷をみて慌ててスタッフ総出で処置の準備へ、彼の右足は膝から足首にかけて4か所の刺傷痕、止血は得られていたもののいくつかは脂肪組織が露出し表皮真皮は欠損している状態でした。急いで患者さんを処置台に寝かせ、清潔シートをかぶせます。滅菌手袋を装着すれば、小さな診療所の一室も手術室に早変わりです。無影灯だってあります。(おそらく昔の名残でしょうか。)
小1時間にわたる大手術、合計23針の縫合処置が終了しました。処置中も患者さんは笑顔で自分が縫合されている様子を凝視されていました。「自分の傷をみても、気持ち悪くならないですか。」と聞いても、「そんなことはない。」とにこやかに話されました。やはり90代の方のメンタルはすごいですね。
処置後は笑顔で歩かれて帰宅されました、現在は全て抜糸し、創部フォローのために定期的に診療所に足を運んでもらっています。
やっている処置自体は大した処置ではないものの、漫画のような嘘みたいなエピソードに触れ合えるのも地域ならではだと思います。また同時に、地域ならではのご高齢の方々の身体能力の高さ、並外れた精神力の強さにはただただ感心するばかりです。山に1人で出向き、イノシシと対峙する90代の方が都心部にいるでしょうか・・
このように自分が地域で経験したことや興味深い出来事を、発信できればと思います。最後まで閲覧頂きありがとうございました。